債務整理

破産すると仕事ができない職業がある?自己破産の資格制限について

自己破産の資格制限について、川口市の弁護士が詳しく解説

自己破産を検討されているご相談者の方から、「自己破産をしたことが会社にバレたら、会社をクビになったりしませんか?」、「自己破産をすると就けない仕事があるって聞いたのですが……」といったご質問をいただくことがあります。

自己破産したというだけで解雇されることは、まずないでしょう。ただし、自己破産手続中は特定の資格を用いて働けなくなる「資格制限」があるので、これに該当してしまう方は要注意です。

ここでは、自己破産をする方が気になるであろう「資格制限」について説明します。

1.自己破産とは

自己破産は、住居等の高価な自己の財産を処分する代わりに、借金を原則全て免除してもらう仕組みの債務整理です。
個人再生や任意整理と異なり、借金を減額したうえで返済する必要はありません。

自己破産は非免責債権(税金の滞納や養育費など)以外のすべての借金を免除してもらうことができるので、大きなメリットがある手続きといえます。

しかし、後述のとおり、資格制限を受ける職業も存在します。

2.自己破産の資格制限とは

自己破産を申し立てられた裁判所が、手続開始を宣言する「破産手続開始決定」をすると、債務者は「破産者」という地位に置かれます。
そうなると、一定の資格を利用して働けなくなったり、一定の職業に就けなくなったりするなどの制約を受けます。

これが「自己破産の資格制限」といわれるものです。

資格制限については、破産法自体には定めはありません。
各種の職業に関する法律などの中で、個別的に破産者が行えない業務が規定されていたり、破産者でないことがその職種につく条件になっていたりします。

なお、自己破産できない職業があるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、そのようなものはありません。どのような職業の方でも、自己破産をすることは可能です。

3.資格制限を受ける仕事・職業

自己破産をすることで、あらゆる資格や職業が制限されるわけではありません。
基本的に「他人のお金を取り扱う重要な資格や職業」だけが制限の対象になっています。

なお、のちに説明しますが、一生その職業に就けないとか、資格がはく奪されてしまうといったことではありませんので、その点はご安心ください。

資格制限のある職業
警備員・生命保険募集人・証券外務員・損害保険代理店・貸金業者・商工会の役員・信用金庫等の役員・旅行業務取扱管理者・宅地建物取引士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・建築士事務所開設者・公証人・質屋・通関士・風俗営業を営もうとする者・弁護士・弁理士・行政書士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・税理士・中小企業診断士 など

○○士という名前の職業、いわゆる「士業」と呼ばれる職業について資格制限があることが多いことが分かります。
ですが、たとえば、保育士、社会福祉士、介護福祉士、消防士などは、「士」がついても破産者であることによる資格制限はありません。

なお、以前は、企業の取締役や監査役も資格制限の対象になっていましたが、現在では資格制限の定めはありません。
ただし、取締役などが自己破産すると会社との委任契約が終了してしまうため、一度その地位を失うことになります。

もっとも、自己破産手続中であっても、適正な選任手続を経て再度取締役に選任されることは可能です。

【資格制限は後見人などにも影響】
上記の資格や職業の他に、民法の規定により破産者であることが欠格事由(欠格とは、要求されている資格を欠くことを言います)とされている資格があります。
後見人:判断能力のない人に代わって財産の管理などをする人
後見監督人:後見人の監督をする人
保佐人:判断能力がとても不十分な人に代わって財産の管理などをする人
補助人:判断能力が不十分な人に代わって財産の管理などをする人
遺言執行者:遺言の内容のとおりに相続をするための処理をする人

4.資格が制限される期間・復権のタイミング

破産者が資格制限を受けるといっても、それは一生続くというものではありません。
「復権」をすることで、資格制限は解除されます。

復権とは、法的に破産者から一般人の状態に戻ることです。
破産者の債務免除を裁判所が認める「免責許可決定」が確定すれば自動的に復権しますから、特別な手続もなく資格制限は解除されます。

免責許可決定が確定するのは、決定がされてからおよそ1か月後です。申立てからすると、裁判所や具体的な事情にもよりますが、制限される期間は早くて4か月、おおむね半年でしょう。

仮に免責許可決定がされない「免責不許可」となってしまった場合でも、破産手続の開始から10年が経過すれば自動的に復権します。

5.会社にバレる、クビにされる可能性

(1) 資格制限の対象の仕事でない場合

自己破産をする方が特に恐れるものの一つが、勤務先に自己破産の事実が発覚することや、それにより解雇されることです。

資格制限の対象とならない職業の場合は、会社から借金をしているなどの特別な事情がない限りは、さほどおそれる必要はありません。
むしろ、基本的にはすぐに自己破産したほうが、勤務先に借金がバレないで済むでしょう。

また、自己破産したことを理由に解雇することは労働基準法の不当解雇になることが大原則です。
もし会社があなたの自己破産を知ったとしても、それを理由にあなたを解雇することは違法となります。

(2) 資格制限の対象の仕事の場合

資格制限の対象になっている職業の場合には、勤務先に自分から伝える覚悟が必要です。

資格が制限される職種がある会社では、官報の自己破産関係の情報をチェックしている部署がある可能性もあり、その場合は勤務先に自己破産のことが知られてしまいます(たとえば、不動産業、金融関係、保険関係、警備関係の会社など)。

資格制限されている間は働けないのにそれを隠して働くことは違法です。会社としても見過ごすわけにはいかず、そのままではあなたを解雇しなければならなくなります。

破産手続き中は休職・転属を申し出るか、自己破産以外の債務整理を検討するなどして対策をしましょう。

6.自己破産のご相談は泉総合法律事務所川口支店へ

資格制限のある職業についていらっしゃる方ですと、自己破産は避けたいと思われることが多いかと思われます。休職や転属などで対応することはできますが、勤務先の協力次第です。

そのような場合は、任意整理、個人再生といった債務整理の方法もありますが、自己破産とは異なり、借金の一部は返済しなければいけません。

あなたの具体的な事情や希望に照らして、どの手段が良いのかを判断するには、法律の専門家である弁護士との相談は大切になります。

川口市、蕨市、さいたま市、京浜東北線沿線にお住まい、お勤めの方で、借金問題でお悩みの場合は、ぜひ一度泉総合法律事務所川口支店にご相談下さい。
債務整理のご相談につきましては、無料でお受けしておりますので、お気軽にご連絡ください。

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