債務整理

奨学金と個人再生~メリット・注意点の対策・保証人~

奨学金が返済できない時の個人再生について

学費や生活費のために多くの学生の皆さんが奨学金制度を利用していますが、日本では、奨学金は、ほとんどの場合、給付金ではなく「借金」です。

サラ金などからの借金よりも、返済期間が長く利息も少ないですが、それでも、将来返済する必要があります。

最近では大学に進学する人が増える一方、大卒者の収入が減少し不安定となってしまったため、奨学金の返済を延滞・滞納してしまっている人が増えています。

そんな方に向けてここで紹介する債務整理の方法が、「個人再生」です。
個人再生は、借金の一部だけ長期分割払いすることを裁判所に認めてもらい、その返済を終えることで、残る借金を免除してもらえる債務整理手続です。

多くのメリットがあり、奨学金の返済に困っている方にも便利な手続です。

一方で、注意しなければならない問題がないわけではありません。
特に、親族の方に保証人になってもらっている場合は、保証人の方にも影響が及びます。

ここでは、奨学金で個人再生をする場合について、そのメリットや注意点などを説明します。

1.奨学金を個人再生で債務整理するメリット

個人再生で奨学金を債務整理すれば、以下のようなメリットがあります

  • 利息だけでなく元本も含めて大きく減らせる
  • 裁判所に財産を処分されない
  • 自己破産できなくなるような事情があっても手続ができる
  • 警備員や保険・金融関連の企業に勤めていても仕事に影響が出ない
  • 住宅ローンのあるマイホームを手元に残せる

(1) 利息だけでなく元本も含めて大きく減らせる

個人再生では、借金の一部だけを原則3年(最長5年)で分割払いする計画を裁判所に認めてもらえれば、その分割払いを終えることで、残る借金が免除されます。

この計画は「再生計画」と呼ばれています。

再生計画には、税金などの例外を除くほとんどの借金の利息も元本も組み込まれ、一気に支払負担が減ることになるのです。

(2) 裁判所に財産を処分されない

自己破産では、借金が原則帳消しになる代わりに、ほとんどの財産は裁判所により「換価」、つまり、売却処分され債権者に配当されてしまいます。

個人再生手続では、配当手続自体がありません。
ですから、少なくとも、財産を裁判所により処分されることはありません。

しかし、個人再生手続でも、ローンのある財産、特に自動車は、自動車ローン債権者に処分されてしまいます。
また、自己破産すれば配当されると予測される財産の金額以上を債権者に返済する必要があります。

(3) 自己破産できない事情があっても手続ができる

自己破産では、「免責不許可事由」と言って、浪費やギャンブルなどによる借金など、借金を無くすには不適切な事情があると、借金がなくならないリスクがあります。
個人再生にはそのような規定はありません。

もっとも、財産隠しやウソの書類提出、資料ねつ造など、重大な違法行為などをすれば、手続が出来なくなることはあります。

(4) 仕事に影響が出ない

自己破産では、警備員・生命保険の募集人・証券外務員など、他人の財産を扱う職業や資格で働くことが、手続中できなくなるおそれがあります。
そのために、借金が職場にバレる可能性もあります。

個人再生ではそのようなことはありません。

住所氏名が官報に掲載されることは個人再生も自己破産も一緒ですが、個人再生は資格制限がないために、勤務先に官報をチェックされていることはないでしょう。

(5) マイホームを手元に残せる

個人再生には、「住宅資金特別条項(通称「住宅ローン特則」)」という制度があります。
住宅ローン以外の借金を整理しつつ、マイホームを手元に残すことが出来ます。

個人再生では、債権者を公平に扱う「債権者平等の原則」があり、住宅ローンも手続の対象となってしまい、そのままだと、抵当権に基づいてマイホームが債権者により処分されてしまいます。

住宅資金特別条項は、住宅ローンを従来通り支払う代わりに、処分を防げるのです。

2.奨学金を個人再生で整理するときの注意点

さて、そんな個人再生手続には、デメリットや注意点がないわけではありません。

奨学金を個人再生しようとする方が特に注意するべき点について簡単な説明をし、考えられる対策も紹介します。

(1) 負担の減った借金はちゃんと支払う

個人再生をしても、一部とはいえ借金を支払う必要があります。支払が滞れば、借金が元通りになることすらあるのです。
そのため、裁判所は、再生計画どおりの支払いが出来ないと判断すると、個人再生を認めてくれません。

「再生計画の支払いを現実にできる見込み」は、「再生計画の履行可能性」と呼ばれています。
収入が少ない方は、再生計画の履行可能性が認められるかに注意する必要があります。

もっとも、収入が少なくとも支払額が少なければいいだけの話でもあります。
ですから、アルバイトや派遣社員などの方でも、手続が利用できないわけではありません。

無職の方の場合、内定があり、もうすぐ働き始めるなどの事情が必要でしょう。

再生計画で返済する必要がある金額の決め方

個人再生をしても支払わなければならない借金の金額を「計画弁済総額」と言います。

計画弁済総額は、基本的には、下の金額のうちいずれか「より大きい」金額です。

1:最低弁済額

借金総額に応じ法律が定める基準額です。
たとえば、借金総額が100万円以上500万円未満ならば100万円、500万円以上1,500万円未満のときは、借金の5分の1 です。

2:清算価値

自己破産での配当見込額です。債務者がもつ財産が高額なほど大きくなります。

(2) 債権者の反対を回避する

個人再生手続には二つの種類があります。

小規模個人再生」は、使い勝手が良いため一般的に利用されていますが、債権者の人数または借金金額の多数決で反対されると、手続が打ち切られてしまうリスクがあります。
親が奨学金の保証人となっている場合は、奨学金債権者は親に請求しますから反対してこないでしょう。

しかし、機関保証の場合、奨学金の立替払いをした保証会社が手続に反対し、小規模個人再生が打ち切られてしまうおそれを無視できません。

そんなときに用いるのが「給与所得者等再生」です。
給与所得者等再生では、債権者の反対を無視して個人再生できます。

その代わり、収入の安定性が求められる他、計画弁済総額が増加する可能性があるなど、利用条件が小規模個人再生よりも高くなるため、しっかりとした確認と対策が必要になります。

奨学金の返済にお困りの若い方ですと、独身の方が多いでしょう。
給与所得者等再生独自の基準(可処分所得基準)により計画弁済総額が大きくなってしまうと、履行可能性が認められにくくなるおそれがあります。

【保証人の債務整理も検討】
奨学金を個人再生で債務整理するときに最も大きな問題となるのが、親が連帯保証人となっている場合の対応です。
個人再生することを知った奨学金の債権者は、連帯保証人に対して奨学金残額を一括で支払うよう請求してきます。
連帯保証人の経済的負担を軽減するためにも、また、連帯保証人との人間関係を保つためにも、事前に連帯保証人と「連帯保証人が奨学金を一括で返済・分割払いできるか」「連帯保証人も債務整理が必要になるのか」を十分話し合わなければなりません。
なお、保証会社を利用しているため、親が連帯保証人になっていない場合は、上記のような問題は生じません。保証会社は、奨学金残額を一括返済したうえで、普通の債権者と同じように個人再生の手続に参加します。

3.まとめ

奨学金への返済に行き詰ったら、ともかく早急に債務整理をすることが重要です。
連帯保証人となっている親の事を考えても、まだ親が元気なうちにトラブルの芽を摘んでおくべきです。

本文では触れられませんでしたが、いわゆるブラックリストの問題を考慮しても、債務整理は早い方がよいのです。

どのみち、奨学金を数か月滞納すればブラックリストに登録されてしまっています。
ブラックリストの登録期間はどんなに長くても10年です。登録後10年以内にはブラックリストから個人再生をした記録が抹消され、信用も回復できます。

奨学金の個人再生を先延ばしにしてしまい、個人再生をして生活再建を果たした後に、住宅ローンや自動車ローン、教育ローンを申し込もうとしたら、ブラックリストの登録がまだ残っていたためにローンを組めなかったということになりかねません。

どうぞ、お早めに弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所では、個人再生をはじめとした債務整理についての豊富な実績がございます。奨学金でお困りの方の自己再生は、泉総合法律事務所へご相談下さい

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