個人再生が失敗しないためのポイントとは?
個人再生をする以上、誰もが個人再生を成功させたいと思っているはずです。
しかしながら、実際問題として、個人再生に失敗する人がいることも事実です。
一体なぜ、個人再生に失敗してしまうのでしょうか?そして、どうすれば個人再生に失敗せずに済むのでしょうか?
この記事では、個人再生に失敗してしまう原因と、個人再生に成功するためのポイントについて解説します。
このコラムの目次
1.個人再生の失敗とは?
そもそも、個人再生に「失敗」するとはどのような状況なのでしょうか?
まず、個人再生は以下のようなステップを踏んで進んでいくことを覚えておいてください。
- 地方裁判所への申し立て
- 再生手続開始
- 債権額の決定
- 再生計画の作成
- 意見聴取や書面決議
- 再生計画の認可
- 返済義務の履行
この7段階のどのステージで失敗するかで、「棄却」「廃止」「不認可」「取消」の4種類に分類されます。
(1) 棄却
個人再生を地方裁判所へ申し立てたときに、一定の条件を満たさないなどの理由で、裁判所が再生手続開始に進むのを認めないことを「棄却」と呼びます。
地方裁判所への申し立ては個人再生のファーストステップなので、「棄却」は最初の一歩でつまずいた状態です。
そのため、以下の要件に気をつける必要があります。
- 借金の額が5,000万円以下であること
- 再生手続の費用を裁判所に納めること
- 破産手続や特別清算手続が既に進んでいないこと
- 再生計画案の作成若しくは可決の見込みまたは再生計画の認可の見込みがあること
- 不当な目的がなく、誠実にされたものであること
(2) 廃止
棄却されずに再生手続が開始されたあと、「債権額の決定」~「意見聴取や書面決議」の段階で再生手続が失敗することを「廃止」と呼びます。
小規模個人再生の場合、廃止される要件は民事再生法第237条に定められています。
- 再生計画案に反対する議決権者が総数の半分以上を占める
- 再生計画案に反対する議決権者の金額が議決権の総額の2分の1を超える
- 財産目録に記載すべき財産を記載しない、または不正の記載をする
2つ目の項目はわかりづらいかもしれませんので、補足します。
例えば債権者が3社存在し、A社が200万円、B社が100万円、C社が50万円の債権を持っていたとします。つまり、総債権額は350万円です。
ここで、A社のみが再生計画に反対した場合、債権者の半数以上は再生計画に同意していることになります。
しかし、A社の持つ債権額が総債権額である350万円の半分を超えるため、反対者が1社であっても廃止の要件に当てはまってしまうのです。
(3) 不認可
棄却も廃止もされず、再生計画の認可の段階まで進んでから失敗することを「不認可」といいます。
民事再生法第174条には、不認可の要件が以下のように記載されています。
- 再生計画が法律の規定に違反し、その不備を補正できない場合
- 再生計画が遂行される見込みがない場合
- 再生計画の決議が不正の方法によって成立した場合
- 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反する場合
申立人の継続的かつ反復した収入に見合った再生計画でないと、計画が遂行される見込みがないと判断され、不認可となってしまいます。
しかし、再生計画に法律違反や不備があったとしても、それを補正できれば不認可とされない場合があります。
また、違反があってもその程度が軽い場合は不認可にならない可能性があります。
(4) 取消
棄却も廃棄も不認可も回避して再生計画が認可された後であっても、その後に個人再生が取り消されることがあります。
これを「取消」といいます。
再生計画が取消を受けるのは主に以下の2パターンです。
- 再生計画が不正の方法により成立した
- 債務者が再生計画の履行を怠った
特に多いケースが後者の「債務者が再生計画の履行を怠った」ときです。
これは要するに、再生計画に従わずに債権者への支払いを怠ったようなときです。
もし、債権者に対する支払いの延滞や滞納をした場合、債権者が裁判所に申し立てると個人再生の取消が行われることがあります。
取消が実行されると、せっかく圧縮してもらった借金の額が個人再生前の額に戻ってしまいます。
こうなると、自己破産くらいしか債務整理の手段がなくなってしまいます。
個人再生の認可を受けたら、その後の支払いを怠らないようにしなければなりません。
2.個人再生が認められないその他のケース
ここまでは個人再生の棄却・廃止・不認可・取消の要件を学んできました。
しかし、その他にも個人再生が失敗するケースがあるのでご紹介していきます。
(1) 借金の返済によって生活が圧迫されている程度が軽い場合
個人再生は借金の返済で生活が苦しくなっており、このままでは生活が厳しいという方が利用する制度です。
このため、現状のままでも借金の返済が可能な人は、個人再生の利用ができない可能性があります。
(2) 住宅の所有権を失うおそれがある場合
個人再生に伴って住宅ローン特例を利用するときに問題となる条件です。
例えば、住宅ローンの債権者以外の債権者が、債務者の住宅に抵当権を設定しているような場合がこれにあたります。
特に事業をしている方は、事業用資金の借り入れのために自宅に抵当権を設定していることがあります。
もし住宅ローン以外の債権者が抵当権を実行して住宅を競売にかけた場合、債務者は住宅の所有権を失ってしまいます。
住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されている場合、可能であればその抵当権を外してしまうのがベストでしょう。
どうしても無理な場合は、弁護士と相談のうえで善後策をとってください。
また、税金を滞納して住宅が差し押さえの対象となっている場合も「住宅の所有権を失うおそれがある場合」に該当します。
この場合は税金の滞納を解消しなければなりません。
滞納分を一括で支払うのが難しくても、債権者と相談して分割支払いとすることで個人再生を先に進められることがあります。
3.個人再生を成功させるためのポイント
このように、個人再生手続きが失敗してしまう理由には様々なものがあります。
個人再生を成功に導くには、ずばり、個人再生に詳しい弁護士に相談するのがもっとも確実な手段です。
個人再生を弁護士に依頼して行うと、以下のようなメリットがあります。
- 多くの提出書類の収集を手伝ってくれる
- 書類をチェックし、不備があれば訂正の指示をしてくれる
- 実現可能な再生計画案を作成してくれる
- 代理人として裁判所へ赴いてくれる
- 個人再生以外の別の債務整理方法を検討してくれる
弁護士は、ご依頼者が個人再生を行うことが可能な状況かどうかを判断してくれます。また、裁判所への提出書類についても不備がないようチェックしてくれますので、個人再生を棄却されるおそれはありません。
また、実現可能な再生計画案を提出すれば、不認可となることはないですし、再生計画開始後の返済も無理なく行うことができるので、取消となってしまう可能性も低くなります。
個人再生は非常に複雑な手続きなので、弁護士に依頼せずに自力で手続きを終えることは不可能に近いです。個人再生をお考えの方は、一度弁護士にご相談することをお勧めします。
4.個人再生は泉総合法律事務所へご相談下さい
個人再生を失敗させないためには、多くのチェックポイントがあります。
しかし、一般人がこれらを考慮しながら個人再生手続きを進めるのは大変な困難を伴います。
泉総合法律事務所には、借金の解決実績が豊富で、個人再生はもちろん、様々な債務整理の手続きに詳しい弁護士が多数在籍しております。
借金のことを相談するのは恥ずかしいかもしれませんが、弁護士は借金問題の相談を日常的に取り扱っているため、安心してお話しいただければと思います。
借金が今以上に膨らんでしまう前に、是非一度、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。相談は何度でも無料です。
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