交通事故

交通事故の治療費支払いの疑問を解決

交通事故治療費についての注意点。自分で負担しなければならないの?

交通事故の被害者として怪我を負ってしまったとき、怪我の回復が気になるのはもちろんですが、現実問題として、その治療費に関することも重要な問題となります。

交通事故の責任は、加害者側にあるのだから、当然加害者側で被害者の治療にかかったお金を全額支払ってもらえるか、といえば、そうとは限りません。

誤った治療を選択して、結局被害者自身が多額の支出をしなければならなくなった、などといったことのないように、治療に関する費用について正しい情報を知り、その上で治療を選択していきましょう。

ここでは、交通事故による怪我の治療費にまつわる5つの疑問を解消していきます。

1.治療費は誰が負担するか?

交通事故による被害者の怪我は、加害者の不法行為によって生じた損害なので、加害者に賠償責任があります。

一般的には、加害者は任意保険に加入しているので、その保険会社が被害者の治療費を負担することになります。

ですから、その答えは、一般的には加害者が加入している保険を扱う保険会社といえます。  

2.実際に病院に治療費を支払うのは誰?

最終的に治療費を負担するのは、一般的には加害者側の保険会社ということは分かりましたが、当面の治療費を実際に病院に支払うのは、誰になるのでしょうか。

(1) 加害者側の保険会社

加害者側の保険会社が交通事故の損害賠償として治療費などを支払うのは、通常損害賠償の内容が確定して示談が成立してからです。
つまり、保険会社が正式に治療費を支払うまでには、かなりの時間がかかるということです。

しかし、それまでの治療費が被害者の自己負担となると、一時的な支払いとはいえ治療費の負担は非常に大きくなりますし、領収書などを保管した上で後から保険会社に請求するという手間もかかります。

よって、実務上は直接保険会社から病院に支払う手続きを取れる(一括対応といいます)こともあるので、加害者側の保険会社に確認してみましょう。

(2) 被害者自身

上記のような一括対応が行われない場合は、当面の怪我の治療費の病院への支払いは被害者自身が行い、後で加害者側の保険会社に請求することになります。

また、加害者が任意保険会社に加入していない場合で、加害者が資力に乏しかったり、被害者が治療する病院に行けなかったりする場合も、被害者自身が一旦支払いを行うことになるでしょう。

【交通事故の治療には健康保険が使えないって本当?】
交通事故による怪我の治療には、健康保険が使えないという話を聞くことがあるかもしれませんが、これは誤りです。
病院側でも健康保険は使えないという対応をする病院もあるようです。しかし、交通事故による怪我の治療であっても、健康保険を使うことができます。
当面の費用として被害者自身が病院に支払う場合などには、健康保険を使った場合と使わない場合では、一時的とはいえ、支出が大きく違ってくることになります。
病院で健康保険を使えないと言われても、諦めずに交渉するか、弁護士に相談すると良いでしょう。

(3) 加害者本人

その他、加害者本人が、被害者の病院に付き添った場合などに、治療費を支払う対応をするケースもあります。

3.治療にかかった費用は全て負担してもらえる?

では、加害側の保険会社は、治療にかかった費用ならどんなものでも負担してくれるのでしょうか。

その答えは、「治療にかかった費用だからといって、どんなものでも負担してもらえるとは限らない」、です。

加害者側の保険会社が負担する治療費は、必要かつ相当な範囲で認められるものに限られるので、負担してもらえるものと負担してもらえないものがあります。

また、加害者の過失が100%であれば、原則治療費は全額負担してもらえますが、被害者にも過失がある場合には過失割合に応じてしか治療費をもらえません。

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ですから、保険会社に負担してもらえる費用なのか判断に迷ったら、治療等を始める前に、保険会社に確認しておくとよいでしょう。

(1) 通常の健康保険がきく範囲の治療

通常の健康保険がきく範囲の治療にかかった費用であれば、必要かつ相当な範囲の治療であるので、問題はなく、原則として全額保険会社に負担してもらえます。

(2) 自由診療

健康保険がきかない自由診療は、医師が医学的に不必要な診察を過剰に行う過剰診療や濃厚診療につながりやすく、過剰診療などがあれば、保険会社は一部しか負担してくれない場合があるので、注意が必要です。

(3) 鍼灸やマッサージなど

交通事故によるむち打ち症状がある場合などには、鍼灸やマッサージによる治療を望む場合があるでしょう。

しかし、鍼灸やマッサージによる治療費は、整形外科などの病院の医師の指示があって、その行為が治療に有効である場合にのみ、保険会社に負担してもらえるのです。

つまり、鍼灸やマッサージに通うだけではなく、病院にも行って医師に指示をもらう必要があるということになります。

(4) 個室代

特別室の個室料や、差額のベッド代は、原則として保険会社に負担してもらえないものです。

しかし、医師の指示があったり、傷害の程度による必要性があったり、病院のベッドの空き状況の問題があったりした場合は、保険会社に負担してもらえることがあります。

(5) 付き添い看護費用

付き添い看護費用については、必要性がある場合には保険会社に負担してもらえます。

ただし、付き添い人が看護を仕事とする人に依頼した場合は実費を負担してもらえますが、家族などに付き添い看護をしてもらった場合には一定額となります。

【いつまで支払ってもらえるのか】
交通事故によって怪我をした場合には、むち打ちなどの治療が長引くことがあります。治療が長引いたとしても、保険会社には治療費をずっと支払ってくれるのでしょうか。
その答えは、「一般的には、完治する見込みがある場合は治療終了まで、後遺症が残ってしまう場合などは症状固定(医師が治療を続けても大幅な効果が見込めないと判断される時期)のときまで」、です。
つまり、保険会社は、治療が必要な期間にかかった治療費は支払ってくれる、ということですが、この治療期間に関して、保険会社側と被害者側で認識が異なる場合があり、この場合に治療費の打ち切り問題が生じます。

4.保険会社から治療費を打ち切ると言われたら?

交通事故による怪我の治療を続けていると、保険会社から「そろそろ治療をストップしてもいいのではないか」「治療費を打ち切ります」などといったことを言われる場合があります。
保険会社にとっては、治療期間が短い方が支出を抑えることができるので、怪我ことの一般的な治療期間と言われる時期に、被害者に治療を打ち切らせようとするものです。

こういった場合は、「治療を継続する必要があるのならば、医師に相談の上、保険会社に交渉する、保険会社が応じないようなら、弁護士に相談する」ことが必要です。

治療を継続した方が良い理由としては、次のようなものがあります。

(1) 怪我が完治せず後遺症が残る危険

治療の継続が必要なのに、保険会社に言われるまま治療をやめてしまえば、怪我が悪化してしまうこともあります。

治療は、医師が診断する症状固定(もうこれ以上治療しても症状が改善しないという状況)まで続ける必要があります。

症状固定までの治療費は、必要なものであれば後から保険会社に請求することも可能です。言われるがまま治療を中断せず、医師の指示を仰いだ上で正しい対応を行いましょう。

(2) 後遺障害等級認定を受けられなくなってしまう

例えば、交通事故によってむち打ち症状がある場合であれば、保険会社では一般的に3か月程度を治療期間と考えていることが多いものです。

もし、保険会社が、治療期間3か月程度で打ち切りを求めてきた場合に、それに応じて症状固定としてしまえば、治療期間が短いため、後遺障害等級認定を受けられないということもあります(一般的に、むち打ちの後遺障害を認めてもらうためには6か月ほどの通院が必要と言われています)。

痛みが続き後遺症が残っているのに、早期に治療を打ち切った結果、後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益など、もらえるはずのお金がもらえないという事態は避けるべきでしょう。

5.交通事故の示談交渉は泉総合法律事務所へ

以上、交通事故による怪我の治療費にまつわる疑問をみてきました。

ただ、疑問は解消できたとしても、実際に行動してみると困難を伴うものです。
そういった場合には、交渉のプロフェッショナルである弁護士にご相談ください。専門家が、交通事故のお悩みを解決するお手伝いをさせて頂きます。

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