刑事事件

振り込め詐欺の実態。受け子でも懲役の罪になってしまう?

振り込め詐欺の実態。受け子でも懲役になってしまう?

数年前から全国で報道されている振り込め詐欺ですが、ここ最近また急増しているようです。警察でも振り込め詐欺が起こらないように啓蒙活動を行っていますが、年々手口が巧妙化しており、十分な対策に至っていない状況があるのかもしれません。

振り込め詐欺は主犯格でなくとも、重い懲役刑が科せられることがあります。社会的に見ても、組織的な犯罪として認識され危険性が認識されていることから、受け子と呼ばれる役割であっても主犯格と同様に重く処罰されるのです。

振り込め詐欺は特殊詐欺と呼ばれていますが、今後も厳罰化が進む可能性があります。

今回は、振り込め詐欺で逮捕された場合の刑法上の罪や逮捕後の流れ、懲役を回避する方法などを伝えします。

1.振り込め詐欺はどんな犯罪になるか

振り込め詐欺は「受け子」でも危険!

まずは、振り込め詐欺がどのような犯罪で何罪が成立するのか、受け子にも同じ犯罪が成立するのかについてご説明いたします。

(1) 振り込め詐欺は平成28年度から急激に増加

最近のデータでは、振り込め詐欺被害に遭う人が急増しています。平成29年度の振り込め詐欺認知件数は17926件(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺、を含む)です。

平成25年から28年までは15000件程度で推移していたのにもかかわらず、平成29年度になってから急激に増加しています。

本年度である平成30年度の振り込め詐欺の件数は6819件であり、29年度の同月までの数と比べると349件程度マイナスのため、減少傾向です。それでも、29億4000万円もの被害があるのは驚きです。

振り込め詐欺は過去の手口とはいえず、日々進化し被害が増加している特殊詐欺なのです。

そもそも振り込詐欺とは、電話や郵便物などで、被害者を騙してお金を振り込ませる手口一般を指します。

オレオレ詐欺架空請求詐欺などさまざまな名前がありますが、直接会って騙す詐欺とは異なり、電話などの通信手段を使って行うのが特徴です。

2004年に啓蒙活動のため、警察庁が「振り込め詐欺」とわかりやすく名前をつけました。

「振り込め詐欺」はその名の通り、詐欺罪が成立する犯罪です。刑法246条二規定があり、「人を欺いて財物を交付させた者」に犯罪が成立する旨が規定されています。

振り込め詐欺では、役割分担があり犯罪を主導する役割、実行行為を行う役割が分かれています。電話をかける「かけ子」、お金を受け取る「受け子」や「出し子」という名前がついています。

詐欺罪は、相手を騙し、錯誤に陥れ、財産の処分行為を行うこと、そして、すべてが因果関係でつながっていることが必要です。

振り込め詐欺では、電話をかけた後に、相手が騙されなかった場合でも、詐欺未遂罪(刑法246条1項、250条)が成立し罰せられます。

このように、振り込め詐欺は、未だに多い詐欺手口の1つなのです。

(2) 「受け子」も主犯と同じ罪の重さ

振り込め詐欺で問題となっているのは、被害者だけではありません。アルバイト感覚で犯罪に手を染めてしまう「受け子」や「出し子」と呼ばれる犯人です。

彼らのほとんどは、20代前半や10代の若い世代となっています。生活するお金がなくなった、遊びに行くお金が欲しかった、という理由から、バイト感覚で詐欺行為に加担してしまいます。

受け子達は何のためのお金なのか知らされていないこともあります。それでも、被害者と直接対峙した際に、気づくケースがほとんどでしょう。どんな言い訳をしても、逮捕されたら詐欺罪として立件されてしまいます。

「お金を受け取っただけ」のため、軽い別の犯罪が成立すると考える方も多いと聞きます。

法律的な観点からみると、詐欺幇助罪(同法246条1項、62条1項)として構成し、通常の詐欺罪よりも減刑する考えもないわけではありません。しかし、振り込め詐欺の「出し子」、「受け子」は「共謀共同正犯」として主犯格の犯人と同様に立件されてしまいます。

振り込め詐欺が社会問題になっていることは、誰もが知っていることであり、故意があったと判断しているのです。

したがって、「お金を受け取る役割で被害金だと知らなかった」と主張しても、詐欺罪の共謀共同正犯(同法246条1項、60条)で立件されることは一般的です。

2.振り込め詐欺の刑罰

振り込み詐欺は、特殊詐欺として組織的な犯罪として認知されているため、厳重な処罰が下されるケースがおおくなっています。

主犯格、それ以外の犯人の罪の重さはどれくらいなのでしょうか。

(1) 振り込め詐欺の主犯は10年以下の懲役

刑法246条では、1項詐欺罪では「十年以下の懲役に処する」と規定されています。

詐欺罪では、罰金刑などはありません。そのため、主犯格の場合は有罪になればほぼ確実に懲役刑となります。

10年以下のどのくらいの罪になるのかは、個別ケースによりますが特殊詐欺の主犯格は厳罰に処罰される傾向にあります。

裁判では、詐欺事案の結果の重大性、行為の悪質性、示談があるかなどの要素が考慮され、懲役刑の具体的な年数が決定されます。

もちろん、執行猶予判決もないわけではありません。しかし、執行猶予判決が出るケースでは、被害金額が数万円程度など少ない被害といえる場合や、被害者に全額を返還している場合です。

組織的に犯罪を行っていた場合、何億という金額をだまし取っているため、被害の賠償も難しく、初犯であっても執行猶予は厳しいでしょう。

(2) 振り込め詐欺の受け子の刑罰

執行猶予がつかないケースもある

「お金を受け取っただけ」のケースでは、主犯格よりも犯罪に対する寄与度は低いといえます。

しかし、先にご説明したように、連日ニュースで振り込め詐欺が報道されているのにもかかわらず、「気付かなかった」という主張はほぼ通りません。

そのため、故意が否定され、無罪となるケースはほとんどないでしょう。

もっとも、主導的役割ではないため、主犯格の犯人よりは懲役刑が減刑される可能性は十分にあります。さらにいえば、初犯であれば執行猶予が付く可能性もあるといえるでしょう。

ただし、これは被害者との示談が成立していることが前提です。被害金額を賠償し、示談が成立していれば、執行猶予判決が出る可能性もありますが、必ずそのようになるということをいうことはできません。それくらい、特殊詐欺は重い犯罪として裁判でも認識されているということです。

このように、「受け子」であっても10年以下の懲役を科される可能性は十分にあります。

3.身内が振り込め詐欺で逮捕!逮捕後の流れ

次に、振り込め詐欺で逮捕された場合に、その後流れをご説明します。実刑を免れるために必要な活動についてもお伝えします。

(1) 振り込め詐欺で逮捕→勾留→裁判の流れ

振り込め詐欺で逮捕された場合、48時間以内は警察で取り調べを受けます。その後、検察へ送致され、検察官からも事件について質問が行われます。

送致から24時間以内に、勾留請求を行うかどうかが決定され、請求が出た場合には、その後約10日間勾留されてしまいます。

振り込め詐欺事案の場合、組織的犯罪として認識され、警察から出ると逃走する可能性や証拠隠滅の可能性が高いと判断されがちです。そのため、勾留請求が出される確率も高くなっています。

勾留は原則10日ですが、捜査上必要な場合はさらに10日勾留されることになります。

勾留が満了するとき、起訴するかどうかの判断が出ます。振り込め詐欺の場合、犯人だと判断する客観的証拠が足りない場合は、証拠不十分などで不起訴処分となりますが、証拠が揃っている場合は起訴されることが多いでしょう。

裁判が始まるまでは被告人勾留となり、始まるまで施設にて過ごすことになります。保釈請求が認められれば、裁判まで家にいることも可能です。

また、振り込め詐欺は、勾留中の接見が禁止されることが多くなっています。組織的犯罪を隠蔽するために動く可能性があると判断されているためです。

そのため、弁護士以外は家族でも接見が禁止されることもあります。

(2) 実刑を避けるためには示談が重要

受け子だったというケースの場合や、被害金額が少ない場合には、執行猶予が付く可能性はあります。

もっとも、初犯であるというだけでは、執行猶予が付く可能性は低く、被害者と示談を行っているか、被害金額を賠償できているかが重要となります。

還付金詐欺に一度関わっただけでの場合は、被害金額も数万円程度と低くなります。この場合なら、被害金額の賠償に加えて示談金をお渡しし、誠心誠意謝罪をすることで、示談を取り付けることも可能でしょう。

示談は、量刑や執行猶予に大きく影響しますので、非常に大切です。

他方、被害金額が何百万、何千万に及ぶ場合は、被害金額の全額賠償も難しくなります。

逮捕された本人のご家族が弁償することも多いですが、一度に大金を確保することは通常難しいと思います。

この場合でも、主犯格でない場合はできるだけの被害賠償をし、謝罪をすることで示談をまとめることで執行猶予となる可能性もあります。

ただし、被害者のお気持ちが優先されるため、交渉は非常に厳しいものとなるでしょう。

このように、振り込め詐欺に関与した場合でも、執行猶予や量刑を軽くできる可能性はあります。

もっとも、その前提として被害の賠償と示談をまとめることが必要となります。

4.振り込め詐欺で捕まったら早めに弁護士へご相談を

振り込め詐欺では、主犯格でなく、アルバイト感覚で始めた受け子でも懲役刑が科せられる可能性があります。「簡単にお金が手に入る」といった話を耳に入れても、手を貸さないようにしましょう。

逮捕されてから「知らなかった」と言っても、その主張が認められるかはわかりません。

お子さんやご家族が振り込め詐欺で逮捕されてしまったら、すぐにでも弁護士にご相談ください。できるだけ早く被害者に被害弁償を行い、誠心誠意謝罪することができれば、執行猶予が付く可能性も高くなります。

泉総合法律事務所は、刑事弁護の実績も豊富であり、振り込め詐欺事案の知識が豊富な弁護士も在籍しています。

できる限り早急にご連絡いただくことで、できることも多くなります。まずは初回無料相談をご利用ください。

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